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コスタリカ報告 07 学校、医療、水道など
by 日詰明男
アルフレッドからコスタリカの行政サービスについていろいろ聞いてみた。

小学校は6年間で原則として午前中のみ。
アルフレッドの村では45人の生徒に対し3人の先生という割合だそうだ。
教師のほかに5人の役職がある。校長、秘書、副校長、経理、そしてもう一人は万が一他の役職が何らかの理由で欠員となった場合代理となるために常駐しているという。校長が教室で教えることはない。

セカンダリースクールはいわゆる中高一貫6年教育で、朝7時から午後5時までみっちり授業がある。学費はもちろん無料だが、若干の給食費だけを払う。
200人の生徒に対し10人以上の教師がいる。

公教育では、どの地方でも平等に文部省の決めたカリキュラムを教える。
テストも頻繁にあるようだ。


大学受験のチャンスは1回きりである。
パスするのは20%前後であるからかなりの難関である。

3つの国立大学があり5年制である。学費は無料。
私立大学もいくつかあるがこちらは短期大学、単科大学といった位置づけらしい。

出会う子供は挨拶を大人同様に欠かさず、とても素直で大人の言うことを良くきく。
進学塾は無いわけではないそうだが、滞在している村では気配も無い。
小学生は、学校は午前中だけなので、午後は野山で泥だらけになって遊ぶ。
誰のお下がりか分からない自転車を、整備不良など全然気にもせずに子供たちは皆で共有しあって使っている。
同学年の女の子が歩いていると、男の子たちはさすがにラテン系で、ヒューヒューと口笛を吹いて美しさを褒め称える礼儀を忘れない。
ゲーム機で遊んでいる子供はついぞ見たことはないが、点々とある駄菓子屋のような店には必ず懐かしいスマートボールが数機置いてあり、大人や子供がたむろする「悪場所」となっている。

アルフレッドの次男は、小学生でありながら耕運機を操り、オイルパームの収穫などでは大活躍である。自動車の運転も既に習っているようだ。バッテリー不全の自動車を押しがけして発動させることさえやってのけたのには驚いた。
彼は、普段からすすんで大人の仕事の手伝っているのだろう、言葉は全然通じないのに、私が何をしようとしているのか察知し、気が利いた手助けをしてくれる。その落ち着き払った仕草は一人前の大人の風格である。ロープを縛る技術も一通り習得し、応用もしているようだ。そうかと思うと次の瞬間にはお母さんに甘えて駄々をこねたりするのである。

自営で農業を営むアルフレッドの家では、5人家族で月2000円の社会保険を払えば医療費は無料である。
この国では、たとえ外国人労働者であっても、お金のない人から医療費は取らないそうである。
少ない負担でここまでの福祉、教育行政が実現しているのは、税金を軍備や無駄な道路工事、原子力発電、政治家のパーティー券や政党助成金などに使っていないからだろう。

上水道は場所によって必ずしも利用できるわけではないが、引ける場合は5000円ほどの初期費用がかかり、月200円で30立方メートルまで使える。
下水の行政サービスはなく、各自トイレの水は浄化槽で、生活汚水は砂利や砂でろ過させて流している。
アルフレッドの近辺は家がまばらで、100m四方に数軒というのどかなところなので、都市部はどうなっているかはわからない。

ゴミはビールの缶やペットボトル、ビン、レジ袋など結構出ている。それらを分別せずに黒いゴミ袋に入れて、公共ゴミ処理サービスに出している。
人口が少ないからまだ問題にはならないのかもしれない。

アルフレッドの母親は1歳のときパナマからコスタリカへ移住してきた。
未だパナマ国籍である。
現大統領は月あたり約1万円の年金を国籍を問わず定住している老人に平等に支給している。1万円あれば一人が食べていくには十分だとのこと。

近くの海で魚や貝や海老は採り放題であり、たとえ現金収入がなくても餓えることはない。椰子の実も一年中実っている。

このように自然資源に恵まれ、基本的に豊かならば、人々はそんなに働かなくてもよさそうに思えるが、この国の男性は非常に良く働く。
朝6時から午後3時までが標準の労働時間のようだ。
シエスタは特に無い。
アルフレッドの場合は毎日朝5時から休日返上で働いている。
労働は食うための労働ではなく、生きがいや夢なのであろう。
「基本的に生きていける」という自信はこのように人を能動的にさせる。
労働=ボーナスなのであろう。
そうして得られた収入の一部を、貧しい人を助けることに使うことは全然苦ではないとアルフレッドは言った。
人々は皆楽観的である。


|| 23:04 | comments (x) | trackback (x) | ||
コスタリカ報告 06 アリエラス
by 日詰明男
アルフレッドから面白い話を聞いた。

6ヶ月に1度、アルフレッドの家を昆虫の大群が訪れ、そして去っていくという。

想像を絶する大群のようで、彼らが家を占拠する2時間は、床はもちろんのこと、壁や天井まで真っ黒になってしまうという。
その間はどんな人も、どんな動物もその場から逃げ出さざるえない。

色や形や大きさを聞くと蟻の一種にしか思えないのだが、アルフレッドは蟻ではないと言う。
その昆虫の名前はArrieras(アリエラス)という。

最初は世にも恐ろしい昆虫の話かと思いきや、アリエラスはその短い占拠の間に、家の隅々までありとあらゆる害虫を一掃してくれるのだそうだ。
アリエラスは虫しか食べない。
家自体や家具、食器など人間の財産には全く危害を及ぼさず、家を勝手に掃除してくれるのだからこんなにありがたいことはない。
アルフレッドは彼らの到来を待ち望んでいるようだった。
まるで神からのご褒美のような昆虫である。

当然ながら、この昆虫は最大級に保護される対象になっている。


|| 01:21 | comments (x) | trackback (x) | ||
コスタリカ報告 05
by 日詰明男
アルフレッドと話していてあれ?と思ったのだが、コスタリカは今が冬で、12月から3月までが夏だという。
北半球なのにどういうことだろう?
よくよく確認したところ、乾季を夏と呼び、雨季を冬と呼ぶ習慣らしい。
夏より冬の方が気温が高くても関係ないようである。
どちらにせよ暑い。
乾燥している分だけ、乾季の方が快適である。
観光客も乾季にどっと押し寄せる。

赤道に近くなればなるほど、季節の分類は曖昧になる。
太陽の位置よりも、快適さを優先させて季節を大雑把に分けているのかもしれない。

コスタリカに来てから1ヶ月近くたつが、ほとんど毎日のように激しいスコールが訪れる。
10月から11月が最も雨が降る季節だというから、推して知るべしである。

しかし、ハリケーンに見舞われることはほとんどないそうである。
コスタリカ近辺でハリケーンの種が生まれ、発達しながら北方へ移動するからだろう。

アルフレッドはスコールがいつ来るか、スコールがいつ上がるかを、匂いや風、雨音で的確に予言する。
彼はこんなことは誰でもわかると言うが、われわれから見れば超能力以外の何ものでもない。


|| 00:32 | comments (x) | trackback (x) | ||


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