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星は多かれ少なかれ原子炉である
by 日詰明男
太陽は言うまでもなく原子炉である。
一般には水素とヘリウムの核融合炉と考えられているが、中心部ではもっと重い元素の核融合および核分裂が不断に営まれているのだろう。
銀河の中心同様、太陽のコア中心にはブラックホールが存在すると考える科学者もいる。
ブラックホールとは言わないまでも、実無限の密度を持った特異点であることは間違いない。
中心はそのあまりに強い重力ゆえ、光子は数千万年も外部に出られないという。

同様に、地球もまたひとつの原子炉である。
地殻層、マントル層のさらに深部には核反応の残り粕である鉄の層が析出し、そのまた深部では太陽同様の核融合と核分裂の「火の玉宇宙」が再現されているにちがいない。
地球の場合、表面が冷え、岩石と海と大気に分離し、大気はおおむね透明で「晴れ上がっている」点が太陽と大きく異なる。
木星や土星はまだ晴れ上がっていない星である。もちろん中心部は太陽さながらの原子炉状態だろう。
星の構造はまるで宇宙の系統発生を繰り返しているかのようだ。

したがって地球のコアではウランやプルトニウム、さらに人間がまだ知らないような重い元素まで、生成しては崩壊を繰り返しているのだろう。
この熱源はもう40億年以上もぽかぽか煮えたぎり続けている。
それに比べ、小出裕章氏によると、人工の原子炉が廃炉にされたとしても完全に冷めるまでは僅か100万年しかかからないそうである。地球という原子炉の巨大さがわかる。
地震や火山の噴火、冷めない温泉などで、私たちはその実態を垣間見ることができる。

地球の中心の中心はとてつもない密度となり、ブラックホールのように振舞っていると考える科学者もいる。
こうしてわれわれは皆平等に重力加速度の恩恵を地表で受けているわけだ。

地殻に微量に存在する重い元素、たとえばウランは、かつての地球全体が太陽のような火の玉状態であったことを示している。
本来ならばウランのような重い元素はすみやかにコアへと沈んでしかるべきものだが、どの社会でも落ちこぼれが存在するように、はぐれガラスとして地表に近くに若干取り残された。

人間はその微量のウランをわざわざかき集め、濃縮し、地表に星のコアを作ってしまったのである。
地殻の蓋をあけてコアを覗き込んでしまったようなものだ。
オゾンホールよりもっと大きな穴を空に開けてしまったようなものだ。
このトポロジカルな穴が原爆であり、原子力発電の炉心である。
表と裏の区別、内部と外部の区別がなくなってしまった。
穴の開いた風船がどうなるのかは言うまでも無い。

つまり私たちは地下にも天上にも十分すぎるほどの原子炉を持ちながら、宇宙的な意味で蛇足を演じたわけだ。
地熱や太陽光をそのまま素直に利用すれば済むものを。
というか、地上の生物は今までずっとそうしてきたのである。

直径10センチの野球ボールが地球だとすると、地表から旅客機が飛ぶ成層圏までの10kmほどの空間はたかだか0.08ミリメートルに相当する。
紙の厚さにも満たない。
こうしてみると成層圏まで海に満たされていた時代もあったかもしれない。
いずれにせよそんな極薄の膜の内部で、すべての生態系は営々と営まれてきた。
地下の殺人的な放射線地獄は、地殻+マントルによる数千キロに及ぶ厚さの圧力容器に遮蔽され、
天上の殺人的な放射線地獄からは、オゾン層や強力な磁場による圧力容器によって守られている。
地表や海洋は、いわばかろうじて保たれた奇跡的な薄膜だったと言える。
星のスケールでは誤差として無視できるほどの薄膜の空間に、なんと多様な生態系が開花していたことであろうか。(過去形で書かねばならないのが本当に悔しい。)

地球という原子炉でさえコアの放射線を遮蔽するのに数千キロの地層を要した。
それを高々十数センチの鋼鉄で封印し、制御しようとしたのが人間である。

以上のように、原子力問題の元凶は、そもそも地殻の残留ウランをかき集め、濃縮した時点でアウトだったのである。

しかし、現実にこんなにもたくさんの原子炉(穴)を地表の薄膜内に作ってしまった。
これを実際的にどうしたらいいのか。
東電に100万年間管理してもらうわけにもいかない。

濃縮ウランを人間の手でせっせと希釈し、元の地層に分散させるか。(現状復帰法)
勝手にメルトダウンを起こしてもらって、本来帰るべき地下数千キロのコアに勝手に落ち込んでもらうか。(バルンガ法)

そのどちらかしかないとは思うが、そんなにうまく行くはずもないとは思う。

六ヶ所村が火を噴けば地球最大の穴になる。



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