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サクリファイス
by 日詰明男
A. T. 様

福島原発が引き裂いたものの大きさははかりしれません。
そしてこれはまだ序の口でしょう。
これから私たちは、細部まで確率論的に生きることを強いられるでしょう。
安全か安全でないかの境界線は地上のどこにもありません。

最近日本列島が磔刑にされたキリストに見えて仕方ありません。

かつては世界の文化人類学者の羨望の的であった日本の風土が供犠に付され「永遠に失われた稀有な民族」と年代記に記される公算大です。
それほど大きな事件だと思うのです。
小出裕章氏も無意識にそれを望んでいるのではないかと私は精神分析しています。

キリスト以降も殺戮は増えこそすれ減らなかったように、日本の犠牲の甲斐なく、原発は今後作られ続けるかもしれません。
だとしたらこの宇宙的にも稀な青い惑星が犠牲に供されるということです。
いやこの場合「犬死」と言うべきでしょう。
残されるものが無いわけですから。

うまく行けばこの愚かさに歯止めがかかるかもしれない。

試されますね。

そもそも失われるものの偉大さを認識していなければ、人は真摯になりようもありません。
真の偉大さを指し示すのも芸術の使命でしょう。

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