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郵政民営化の前日にあえて「貨幣郵便」を構想してみる
by 日詰明男
郵政民営化がいよいよ明日から実施される。

2年ほど前から、郵便局の片隅で米国ヘッジファンド、ゴールドマン・サックス社が投資信託を販売しているのに気づかれている人も多いだろう。
あまり客が利用している気配もなかったが。
これはあくまでもゴールドマン・サックス社の布石にすぎない。
郵貯簡保資金につばをつけたというところであろう。
本丸は郵貯簡保資金の自由な運用(投機ギャンブル)代行にあるのだろう。

一昨年の小泉首相による郵政民営化キャンペーン総選挙の際、テレビの討論番組等で、誰かが「郵政民営化は外資の圧力だ」と言おうものなら、田原総一郎も古舘伊知郎も、司会者の立場でありながらまるで申し合わせたように「それは陰謀論だ」とヒステリックに一蹴し発言をさえぎったものだ。
刺客候補フィーバーも手伝って、自民党は選挙に大勝し、郵政民営化法案はいとも簡単に通ってしまった。

あれから2年、陰謀論扱いされたシナリオは着実に実現している。

郵便サービスも目に見えて悪化している。
各種手数料は高くなったし、私が利用している郵便局でも時間外窓口が閉鎖された。
案の定、過疎地の郵便局は続々と閉鎖しているという。
ますます地方での生活は不便になるばかりである。
かくして人口は都市に集中し、地方の過疎化に拍車がかかる。

従来の郵貯簡保資金は、確かに政治家の思惑のまま乱発する国債の受け皿となり、無用な公共工事などに間接的に流れていた。
しかしそれでも地上げや原野商法(土地ころがし)、株投機(株ころがし)、空売り、サラ金に融資する民間銀行や証券会社よりはまだましだったといえる。
これから郵便局もただの民間銀行になるのだから、国民の預金は露骨に、そして合法的に投機的運用に蕩尽されるだろう。しかもそれは米国ヘッジファンドの主導権によってである。
これからしばらく、日本祭りに興じるのであろう。

箪笥預金が最も安全であるという社会になってしまった。
日本銀行券を見放し、貨幣経済から離れる人も増えるであろう。

将来かならずこの愚かな選択が見直される時がくるだろう。
その郵政民営化の失敗から、あらたなシステムが考えられてしかるべきだろう。

原点に帰って構想してみる。
送金手数料のみで運営される国営の金庫・送金サービスがあっていい。
預金は一切運用せず、送金手数料を除いた元本は完全に保証される。
国債にさえ手を出さないから、政府に悪用されることもない。

いわば「貨幣郵便」。

郵便は一律手数料(切手)だけで発信者から預かった私信を宛先に届けるサービスであった。
預かった手紙の内容を第三者に勝手に利用させたりはしない。 これと同じことだ。
同様に貨幣を預かり、中途で運用をせず、機械的に送金、入金するだけの業務に限定するのである。
これは民営化とはまったく別の方向性で、しかも以前の郵便貯金のシステムをより簡素化したものである。
世の中わけのわからん運用をしている金融機関ばかりだが、上記のような金融機関があったら私はそちらを利用したい。不労所得(利息)などはなから期待しないし、預金を勝手に運用されたくない利用者は多いはずである。

そのときまでに郵便局のインフラが残っていることを祈る。
すでに郵便局の閉鎖は始まっているし、旧国鉄のようにローカル線がずたずたになる可能性のほうが大であるが。

お金を増やしたい人は従来どおり投機家や投資家になればいい。その受け皿は既に十分にある。銀行や証券会社だけでなく競馬やパチンコも選択肢の一つである。
これは実際に新しいモノを作ろうとする製造業やアーティストとは無縁な世界である。

問題なのは、安心して預けられる金庫、安心して送金できる行政サービスという選択肢が日本では失われてしまったのである。

新自由主義とやらの価値観からすると、過疎の村の郵便局など採算がとれないのだから閉鎖して当然だと言うのだろう。
しかし、私たちの身体組織をみれば明らかなように、足の小指の先の先まで、新鮮な血液は生きている限り送り続けられるのである。
どんなに過疎化した地方でも、利用者が一人でもいるかぎり郵便局を残すのも一つの価値観である。従来の郵便システムはそれに近い理想にもとづいて張り巡らされていた。
それは日本だけではなく、郵便システムの発明における根本思想だった。
そしてそういう社会インフラを守っている国を、私は尊敬する。

たとえマンモス大学構内にたった一人の車椅子の学生だけだったとしても、段差を無くしたり、エレベーターを増設することに反対する理由があるだろうか?


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